【経験の蓄積】鍼灸施術は知識・技術・経験の蓄積が重要

鍼灸技術は経験の蓄積

どんな仕事も同じなのでしょうが、１つの仕事を続けていれば経験値は積み重なります。上手く行くこと・間違えてしまったこと・改善の余地があったこと、何でもいいです。微細な経験の蓄積を修正しながらより良い方向に持っていくのが仕事です。

我々鍼灸師の仕事も経験の蓄積から成り立ちます。勿論、書物を読んで勉強することも非常に大事です、それも大事な勉強の蓄積。しかしそれよりも、患者さんと向かい合って鍼灸施術をすることに私は意義を感じます。

今は施術時間が30分前後ですが、開業当初は一人に90分近い時間を取っていました。とにかく身体を触らせて貰い、どこが悪いのか感じながら施術をさせて頂くことで経験値を上げてきました。そのうち90分も時間をかけなくても悪い所が分かるようになり、短い時間で満足度を上げることが出来るようになってきたのです。

指先に目が付くまで揉め

よくお客様から聞かれる質問に

「オレ自身がどこが痛いのかよく分かって無いのに、なんでオレが痛い個所を一発で見つけられるの」

と疑問に思って聞かれたりします。経験の蓄積ですってしか言いようがありません。

その方の仕事内容も趣味も運動歴も把握してて、こんな時に痛いんだよって教えて貰ったら触らなくても大体分かります。だからどの場所をどの角度で押すと痛みが出るだろうってのは頭で考えるよりも先に手が動いてます。

昔、師匠からは指先に目が付くまで揉めって言われてました。触診が大事なことがこの言葉でも分かります。毎日人様の身体を触っていたら徐々に指先の感覚は鋭敏になります。それが経験の蓄積です。最近は職人さんの凄さを映すテレビ放送がよくありますが、正にあんな感じで指先が自然と作られてきたのです。

仕事中は考えません、自然と指先が動いてます

左手の触診により場所を確認した時点で、鍼を打つ場所・角度・深さは自動的に右手に伝わって、直後に鍼を打ってる感じ。いちいち考えてどこに打とうか考えていたら一日1000本鍼を打つなんて出来ないですからね。「経験して工夫して次に繋げる」を繰り返しているから今があります。

勉強して実践して細かい修正を繰り返す。それをしない人ってのはどんな業界であれすぐに淘汰されます。飲食店でも治療院でも開業してすぐに潰れてしまう所は、経験と工夫の連鎖が出来ていない所ですよね。

仕事中に一つ一つ鍼を打つ場所を考えながら打っているようでは仕事にならないです。少ない時間の中で効かせようと思えば、指先の情報が脳みそを通る間もなく脊髄反射で鍼灸施術をするようでは無いと仕事になりません。

やる気さえあれば何とかなる

最初は誰でも下手くそです。でもやる気が溢れている人には必ずお客さんが付きます。その少ないお客さんを相手に経験を積んで工夫していけば、必ず技術は上達します。上達すればまたお客さんはやってきます。すると自然とお客さんは集まるようになっているのです。

当院の場合、鍼灸専門院って事もあって鍼灸の施術に特化しています。毎日1000本鍼を打つ鍼灸師ってそうはいないと思います。深めに刺す鍼なので浅鍼の先生よりも刺激は強いのですが、そこを評価してくれる患者さんが多くいらっしゃいます。

身体の奥の方でズンと来ると身体がポカポカ温かくなり、シコリが取れて緩んでくるのが分かります。保険も使えないし、鍼灸のみだし、機械も一切置いてないニッチな鍼灸専門院ですが、途切れることなく患者さんがいらっしゃるのは認めて下さる方がそれだけ沢山いるのだと自負しています。

まだ潰れそうもないので、当分は経験の蓄積を行えそうです。最近は如何に患者さんに噛み砕いて説明できるかも大事だと思い直し、勉強もし直しています。暫く勉強から遠ざかっていたので四苦八苦していますが、継続して行けば何とかなるでしょう。

早く名人なんて呼ばれてみたいですが、そんな風に呼ばれちゃうと怠惰な私は努力をしなくなりそうなので、当分は真面目に経験の蓄積に励みたいと思います。何事も積み重ねですよ。

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